奥信濃100のレース準備からブログを書きなぐっていたら、
長くなりすぎて、3部作の感動巨編となってしまいました。笑
第1部のレースレポ準備編はこちら!
さぁ、やっとレースの詳細です。
来年以降奥信濃100に出ようかなと思っている方に少しでも参考になりますように。
(恐らくコースも距離も今回は全然違うので、あくまで雰囲気を分かっていただけたらと。。。)
スタート~A1夜間瀬エイド(14km)
スタートからポールを使うか迷っていたのですが、
A1エイドまではクロカンコースで走れそうだったので、
コンプレベルトの腰にしまって走ることにしました。
とにかく突っ込み過ぎず、抑えて心拍を見ながら走った、、、
のですが、何かがおかしい。
息は上がってなく、自覚的運動強度では心拍160前後かな?という感じで走っているのに、
スント9を確認すると、心拍はずっと175~185近くまで上がっている。。。
まさか、と思い手首と時計に隙間を作ると心拍が取れない。
せっかく心拍ベルトを胸に巻いてるのに、
手首で計測してるだけになってるやん。。。
「胸を締め付けてくるだけの、ただの乳バンドやないかい!」
と一人でツッコめるくらい余裕を持って走れていました。笑
気を取り直して、左手にリンゴ畑を見ながら、
「長野っぽいな~」と楽しく走っていたら、
5m以内のところで銃声。
関西人なら「なんじゃこりゃ~。」と松田優作風に倒れるところを、
普通に声を上げてびっくりしてしまいました。
よくよくリンゴ畑を見たら、自動空砲装置。
「野生動物からりんごを守るのにこんな機械あるんやな~」
と感心しながらこの辺りはまだ楽しく走っていました。
A1夜間瀬エイド~ペーサー合流のスタートゴール地点まで
A1夜間瀬エイド(14km地点)で補給を済ませて、
歩きながらポールを組み立てる。
トレランレースでいつも自分が大幅にタイムを落とすのがトレイルのきつい登りの時。
奥信濃100のレースで言えば、
このA1~A2までの間にある高社山がそれにあたり、3kmで約600mがつっと登ります。
まだ前半で元気だからといって飛ばしたら潰れるし、
ゆっくり行ってもタイムが大幅に遅くなる。
ここでポールの真価が発揮されました。
ポール使いをどこかで教わったわけではないので、
うまく使いこなせていないと思うんですが、
それでも超絶らく~に登りを登っていけちゃいました。
どんどん人を抜いていけてしまう。
自分は飛ばし過ぎか?と思うくらいにスイスイ登ってしまいました。
最後一瞬鎖場でいつもの足攣りの予兆が少し出て足がピクつきましたが、
「30分に1回ちゃんと補給できてる。塩分もかなり塩を摂ってる。
オーバーペースではないはず。
ということはやっぱり自分の足つりの原因は水やろな。」
と冷静に分析して、このレース中水を多めに摂るようにしたら、
初めてレースでガッツリ攣りきることが無く、ピクつくくらいで済みました。
これは大きな収穫と自信になりました。
そんなこんなで、最初のボス高社山の山頂に差し掛かった時、強そうな女性が前に。
「速いっすね~!」
とお声がけして、ちょこっと喋って前を行かせてもらいました。
高社山の山頂に到着して、さっさと下って、「ペーサーと合流だ!」
と思ったんですが、この下りがなかなか厄介でした。。。
傾斜が急で、ゴロっと岩のところがあったり、降りにくい階段だったり。。。
こういうところはケガする前にさっさと下るが勝ち!笑
何とか怪我せず下りてきたら、待ちに待ったペーサーとの合流。
ここからはもうお任せして、自分はひたすらに背中を追ってついていこうと決めました。
(そして、あわよくばどこかに置き去りにする。なんてセコい奴や。笑)
ペーサー合流~A2ジャンプ台エイド(27km)まで
25kmのスタートゴール地点でペーサーと合流し、すぐにA2ジャンプ台エイドがあります。
スタートゴール地点でデポバックも置けるようにしてくれていましたが、
炎天下で暑くなったら食べ物も飲み物も痛みそうだったので使わないことにしました。
それと前半を走りながら、
「高社山を越えたから林道の登りならポールいらないかな?
そのあとポール禁止区間があって、下りでは絶対ポール邪魔やし。。。」
と考えていたんですが、
最終的に邪魔でも林道の登りを全部走り切りたいからポールを持っていこうと決めて、デポに置く選択をしませんでした。
この選択がいい結果をもたらしてくれることとなります。
僕は、走ってるときに手が何かで塞がるのが嫌いで、
ポールどうするかめちゃくちゃ悩みまくってたのですが、
あまりにもあっけなく高社山を登れてしまったので、
これは絶対あった方が良いと確信しました。
ペーサーと合流してから、
今自分こんな状態、
とかこんなコースだったよ、
と興奮気味に話していたらものの2~3分でロスト。笑
ちょうどその分岐のすぐ先からミズグチメソッドで有名な水口先生がポールを持ってぽくぽく登りながら、
「こっちじゃないぞ~」
と教えてくれてロストは5mくらいで済んで助かりました。笑
すぐに気を取り直して、エイドで補給を済ませて出発!
エイドで補給するとき、
「ねーねーポール持っといて。」
と早速ペーサーにわがままを言って反応を見ます。
すんなり持ってくれて、味をしめる末っ子の僕。笑
そう、これがペーサーを付けた特権なのだ!笑
末っ子の特技、甘え上手を遺憾なく発揮し、エイドワークもスムーズ極まりない。
A2ジャンプ台エイド(27km)~A4カヤの平エイド(46km)
A2からA3糠塚エイド(32km)は5kmしかなくすぐだったんですが、
A3からA4までが14km延々と林道の登りで、
一番水分が足りなくなる恐れがあり、
しっかりとここで1.5Lパンパンにして出発することにしました。
ここで、高社山で少しお話した女性にまた追いつきました。
どこかで抜かれてたみたいですがまたお会いできたので、
「ここからの登りしんどいですかね~。」
と話しかけたらすごく親切に
「ここからはエグイ林道だよ~。」
と試走したことあるような口調で色々と教えてくれました。
エイドでは、ペーサーとエイドのボランティアスタッフの方々と談笑して、
「僕らがなんでこんな笑かされるんですか!逆でしょ~笑」
と言われるくらい、何を喋ってたか覚えてないんですけどスタッフの人を笑かしてたみたいです。笑
なんかこの感じ懐かしい。。。
やっぱトレランは、エイドでスタッフの方と交流するのが最高に嬉しい瞬間なんです。
マスク越しでも笑わせる、それが関西人。
そうして、エイドで元気をもらってここからが後半の勝負所、14kmひたすら林道の登りで1100m近く登る。
しかも、その登りの最初に膝までしっかり川に入らないといけない。
「予定通りしっかり濡れるな。ガーニーグー塗りたくってるし、多分足のトラブルは起こらないはず。」
と意を決して飛び込むと、天国のように気持ちイイ。
一生ここに居たい。笑
手前みそですが、トレイルフェストオリジナルソックスの一番分厚いやつを履いて正解でした。
(履き心地的には中厚が好きなんですが、渡渉があると知り、一番分厚いやつをチョイス。)
知ってる人は知っている、足の裏むけ男の僕が、ゴール後も足裏はほぼノントラブル!笑
そして、走りながら意を決してペーサーに、
「延々とこのペース(7分30秒~8分)で走ってください。上まで走り切ります。」
と宣誓して、とにかくポールを使い倒して何とか走り切りました。。。
上のエイドに着くところで、トップを走る小原さんとすれ違い、
「小原さん頑張って~!!」
と野郎の野太い黄色い声援にも爽やかに答えてくれました。笑
2位の選手は誰だかわからずも「頑張って~」と声をかけたのですが、
なんとトレフェスのイベントにも来てくれたことのある下家さんだった。
あごひげに口ひげもあって全く別人に見えた。。。笑
そしてエイドに到着したら、見たことある風貌の人が。。。。
滋賀の大天狗、西村チャンプのお出ましである。
「1~2分差なんでチャチャっとここから抜き去ってくださいよ~!」
と喋って、
自分もエイドを済ませ、出発しようとしたら、
前のエイドでお話した女子3位の方が到着。
「さっきのアドバイスのお陰で何とか林道攻略できました!」
と少し話をして出発。
このあと、この方は数分後に出発して、
蜂騒動に巻き込まれて、蜂に数か所刺されながらも走り切って女子3位になっていました。すごい。。。
お声をかけた時から、お見かけしたことあるような気がすると思っていたのですが、
2018年、2019年の信越五岳110km連覇されている澤田さんという強い女性ランナーでした。
気軽にベラベラ話しかけてすみません。。。
A4カヤの平エイド(46km)~A5カヤの平エイド(56km)
10キロのループを登って下りて同じエイドに帰ってくる区間。
ここの区間はポール使用禁止で、
そのあとも林道の下りが続くのでポールをしまうのですが、
スタート時にしまっていた腰のところではなく、
ペーサーの方に無理やりザックに入れてもらいました。
この選択も小さいことながらストレスが減り、正解でした。
この区間で、凡ミス。
これでもう登り終わり!と思って、
下り飛ばした先にガッツリ登りが待っていました。。。
完全に登っている場所を勘違いして、
これで終わりだと思って、変なところで力いっぱい走ってしまいました。
そこからたかが、1km170mUPの登りで心がボキ折れ。笑
しかし、後から聞いた話ですが、
自分の2~3分後にこの区間に入った選手は、
数か所蜂に刺されながら何とかこの区間を走れ、
それよりももう少し後ろ、総合80位前後くらいの選手は、
100匹以上の蜂が出てきて、数十か所刺された知人もいて、
引き返して2時間ほど中断の後、この10km区間はカットで65kmのレースになったそうです。。。
刺された知人たちはアナフィラキシー症状とか出てないから大丈夫とは言ってましたが、心配でなりません。。。
というか、
「蜂に刺されまくって、毎日痛痒いです」
ってメッセージのやり取りしたんですが、それくらいで済むんですか!?笑
自分は知らないところで間一髪、蜂被害には遭わず(むしろ僕が叩き起こしたのか?)何とかこの区間は走り抜けました。
A5カヤの平エイド(56km)~ゴールまで
ここまでで56km。
なかなか足にきてるししんどい。
腹筋がバキバキ。
でも足は攣りきることなく、何とか耐えながら走れてる。
何より、筋肉ダメージはあれど、ケガの痛みが無いのが幸いで、とにかくまだ走れる。
そして、自分の大好きな林道だと頭の中で唱えまくって、
また14kmの林道を今度はひたすらに下っていきます。
「ここを走って登ってきたんやし、帰りも絶対足を止めるか、くそぉぉぉぉ!!!」
そう心で叫びながら、
「このペースで引っ張れるだけ引っ張って。」
それだけペーサーに伝えて、淡々と4分30秒~5分20秒で自動運転モード。
無言で淡々とついていくのみ。
一歩一歩腹筋の筋肉痛で呻きながら、
息も荒れながら、でも歩かない。
走る。
1kmのラップを見るごとに、
「まだ13km・・・。」
「まだ12km・・・。」
とカウントダウンしてると、
余計苦しくなってきて、とにかく終わりに渡渉があるから、
そこでドボンする快感だけを考えて、ひたすらペーサーの背中を追いかけました。
時折、ふと調子が上がって来た時に、
「ちきしょ~!
(ペーサーは)教え子やし良いとこ見せなあかんし抜き去ってやる~!」
とペースアップして追いついたら、
ジリジリとペースを上げて逃げられ、また苦しくなる。
これを何度繰り返したことか。笑
渡渉は2か所あって、1か所は濡れなくても渡れるところで、
「そこはパスして、その先の絶対浸からなアカンとこまで行ってから冷やしましょ。」
とちょっとでも時間を削って、この時、【9時間切り】を目指してました。
スタート時の目標は8時間半切り。
それは叶わないけど、9時間切りはしたい一心で、
岩を蹴って爪が死んでも、走る足を止めることはありませんでした。
(初めてレースで爪4つも死にました。。。とほほ。。。)
川で束の間の天国を満喫した後、A6の糠塚エイドに帰って来ました。
エイドスタッフの方が、
「覚えてるよ~!お帰り!ペーサーとは口論にならんかったかい?」
と聞いてくれて、そういえばそんな話で盛り上がったな~と。笑
スタッフの方々から元気をもらったけど、足は復活せず、
ここからの5kmがもう嫌で嫌で仕方ありませんでした。
ゴールまでの5kmがこんなに遠いのかと。
キロ7分を切るのがやっと。
「お互い疲れ切ってますね。めっちゃ無言。笑」
って言い合いながら、最後の5kmはほぼ無言でゴールまで帰って来ました。
ペーサーがふと、
「え、、、最後登るん?」
って言うから、
「だって、僕と合流してすぐここ下りましたやん。ほんでロストしたし。」
って。
この人にペーサーお願いして良かった~。笑
これくらいちょっと抜けてる感じの方が、自分も肩肘張らず、
プレッシャーを感じたりすることなく走れてよかったんだと思います。
来年は、この人のペーサーして表彰台に上げたいな。
なーんてね。
でも、誰かのペーサーをして僕なんかが少しでも走る手助けができたらどれほど嬉しいやろうかと思ったら、
自分がレースするよりもペーサーも責任重大やけどトレランの新しい楽しみを感じられる気がしました。
とはいっても、ペーサーって自薦はできないし、
それだけ人望がないとお願いされないですよね~。笑
こんなご時世で、開催していただき本当にありがとうございました。
もちろん、終わってから頑張ったご褒美しっかり頂きましたとさ。
分析編に続く…
(まだ続くんかい!)