ちょっとひとっ飛びしてノルウェーは、ロフォーテンウルトラトレイル(The Arctic Triple // Lofoten Ultra-Trail®)へ行ってまいりました。
166㎞D+7000mとのことですが、
事前にコース変更があったり、レース中もコースカットがあり、
おそらく160㎞D+6500mくらいになったと思います。
自分にとって人生初100マイルが海外レースという高い高いハードルでしたが、
何とか完走してきました。
初めて100マイル走った感想や、走り終わってから抱いた想いなどは別の機会に譲るとして、
ここではレースについての詳細を写真を多めに振り返っていきたいと思います。
まずはゴール地点で荷物預かりとデポバックの引き渡し、そこからバス2時間、船30分の移動をしてスタート地点へ向かいます。
船でしかスタート地点に行けないってロマンしかないですね。笑
- 1 スタート Kirkefjorden〜CP1 Selfjord
- 2 CP1 Selfjord~CP2 Fredvang
- 3 CP2 Fredvang~CP3 Nusfjord
- 4 CP3 Nusfjord~CP4 Napp(大エイドその1)
- 5 CP4 Napp~CP5 Uttakleiv
- 6 CP5 Uttakleiv~CP6 Unstad
- 7 CP6 Unstad~CP7 Torvdalshalsen(大エイドその2)
- 8 CP7 Torvdalshalsen~CP8 Vikjorden/Valbergveien
- 9 CP8 Vikjorden/Valbergveien~CP9 Kleppstad
- 10 CP9 Kleppstad~CP10 Kongsmarka~ゴール Svolvær
スタート Kirkefjorden〜CP1 Selfjord
【コケてケガしたくない!】
が第一優先順位なので、あまり下りを飛ばしません。
CP1 Selfjord~CP2 Fredvang
でも、バイキングが今にも船から上陸してきそうな入り江のビーチ沿いを走ったりテンションが上がりまくります。
CP2 Fredvang~CP3 Nusfjord
飲んだり、かぶったりしながら走ります。
CP3 Nusfjord~CP4 Napp(大エイドその1)
割り切って抜きつ抜かれつの外国人選手2名と合計3人で
CP4 Napp~CP5 Uttakleiv
気分をリフレッシュさせて大エイドを出発して、すぐトンネルを数キロ走って、そこからトレイルイン。
「珍しく気持ちよく走れるトレイルやん!」
と思ったのもつかの間、、、すっごいわかりにくいトレイルにどんどん化けていきます。
神経をすり減らしながらフラッグを探して、何とかロードに出てきて、またひたすらにロードを走ります。
曇天から少しずつ雨が降り出してきて、天気もドンヨリ、
時間帯も24時を過ぎてきて眠気が出てきて、我慢の区間に。
写真撮る元気もなかったところです。笑
CP5 Uttakleiv~CP6 Unstad
とにかく無心で淡々とロードを走り、わかりにくいトレイルもマーキングの癖を見抜いてきた頃です。笑
「どうせ300m~400m間隔でしかマーキングないんでしょ!」
と一人でぶつぶつ言いながら、
とりあえず正しいトレイルっぽい方へ100mほど進んでみてマーキングがあれば正解、
目を凝らしてもなければいったん戻って、別の方へ100mほど進めば見つかるという法則を編み出していました。
不明瞭なトレイルを抜けたところで、またしてもサポートの志保君が隠し撮りをしてくれていて、
そのあと、ちょっとだけおしゃべりできて、何とかこの区間は元気に走り切ることができました。
この区間、もしくは次の区間が三浦誠司さんがコースマーキングが見つからずリタイアした区間と認識していたので、
とにかく慎重に丁寧にトレイルを走ることを心掛けた区間でもありました。
(参考にした三浦誠司さんのブログ)
ただ、ここのエイドに着いたとき、めちゃくちゃ気さくで親切で、優しいマダムが迎え入れてくれて、
「あ、絶対誠司さんここで炒飯食ったな。」
って直感でわかりました。
それがわかってしまって、なんか一緒に休憩しているような気がしてしまって、
ついここに居たくて長居してしまいました。
ここから本当に二人の【ハシリタビ】が始まったような気分でした。
CP6 Unstad~CP7 Torvdalshalsen(大エイドその2)
これまた走れる区間と思ってたら、海の断崖絶壁沿いのとんでもないコース。
崖をよじ登ったり下りたり。
がっつり崖を降りて砂浜に打ち上げられた昆布?みたいな海藻の上に降り立ったかと思ったら、
今度はごろごろした岩を飛び越えていく、とても走れたもんじゃないコースでした。。。
イメージとしては、足の置き場がわからないテトラポットを次々と飛び越えていくような感じ。笑
飛び乗る岩を間違えたら浮き岩になってるので岩ごと、ごろっと動いて海に落ちそうになるという意味の分からんコースです。。。
さっきのエイドで元気になったのに、速攻メンタルをがっつり削られて、
そのあとの走れる区間も歩いたり走ったりを繰り返して、徐々に走れるところが走れなくなっていました。
さらに朝の6時頃の時間帯になり、一番眠気が来て、道端で5分横になってちょっと寝ようとしてみたり、
車の来ない道路だったので、目をつぶりながら走ってみたりいろいろと試してました。笑
結果、道路の横にある湖畔にはまりそうになり、目が覚めました。
56㎞の大エイドからこの118㎞の大エイドの区間が一番中だるみしてしまった区間となってしまいました。
エイド滞在時間が物語っていますね。。。笑
そして、何とか2つ目の大エイドに到着。
志保くんと話しながら、かなり痛んでいた足裏のふやけを乾かすべく、
思い切ってゆっくりしようと裸足で小一時間エイドでゆっくりすることに。
ここで出てきたスープがほかのエイドとは違って、おそらくラム肉の入ったスープでした。
これがうますぎて3杯か、4杯くらいお代わりしてバクバク食べました。笑
CP7 Torvdalshalsen~CP8 Vikjorden/Valbergveien
とにかく延々アップダウンが続きながら、道があってるのかどうかも気にしないといけない。
と思ったら、斜度25%は軽く超える急斜面が1㎞ほど続き、
登ったと思ったら、ホワイトアウトの雪斜面。。。
そして、両サイドが切り落ちているトレイル。。。
「なんかキリアンがこういうとこ走ってる動画見たことあるぞ。」
テキナ断崖絶壁のトレイルで雨と強風はあかん。
昔行った、石鎚山の天狗岳への道をもっと落ちやすそうにした感じ。笑
ただでさえ高所恐怖症の僕は、へっぴり腰にへっぴり腰を重ねて決死の思いで降りてきました。。。
「そら、鉛筆みたいに高低図で尖ってるよね。。。」と納得です。
CP8 Vikjorden/Valbergveien~CP9 Kleppstad
ひたすらロード区間。
走れているものの、雨と、とんでもない暴風で気持ちは削られていきます。。。
気を抜けばよろけてこけそうになるくらいの暴風。
小さい台風よりか断然キツイ風でした。。。
「この雨と暴風で最後のでかい山入るんかよ。。。」
とずっと思いながら走ってました。
下でこれなら上はどうなってんねんと。。。
ここのエイド手前で、まさかのサポートの志保くんが待ってくれてて、
喋れたのが気持ち的にも切れることなく走りきれた要因です。
やはり、異国の地で日本語を話してコミュニケーション取れるだけで気持ちが救われます。
ただ、志保くんもレンタサイクルしてた自転車を降りて押さないといけないくらいの暴風雨でした。。。
それでも煽られて倒れそうになりましたと言ってました。。。
ひたすらロードを、大型の台風の中走ってる感じで写真なし。笑
CP9 Kleppstad~CP10 Kongsmarka~ゴール Svolvær
エグかったです。
想像を軽く超えるほどにえぐ過ぎるトレイル。
天気が良くても嫌いです。笑
なんで、700mないくらいの標高の山なのにあんなトレイルなんでしょうか。。。
大きな岩を積んで作ったような山で、100㎞~119㎞の区間で走った断崖絶壁の海の岩がそのまま山の上にも積まれてるようなトレイルです。
飛び乗っていく岩を間違えたら、浮き岩になってて岩ごと動いて岩の間に落ちそうになる。
それがとんでもない傾斜で続いていて、
それが終わったら、反り立つような壁を手を使ってよじ登っていくようなトレイルに。
「そりゃ、高低図で鉛筆じゃなくて、シャー芯みたいになるよね。」と納得。笑
ここで50マイルの選手にどんどん抜かれて、なにくそーと足元を見ず、前の人のお尻を追いかける作戦に。
自分のペースでいくと下を見たり振り返ったりして、
より恐怖心が出てくるのでとにかく前の人を追いかけることだけに集中しました。
ただでさえとんでもないコースなのに、そこに大雨と暴風。途中からアラレに変わって打ちつけてきます。
いよいよ核心部の登りが終わり、下りに入ったと思ったところから、
まさかのトレイルにはかなりの残雪。
そして、飛ばされそうなほどの暴風とアラレ。
「あ、これは死ぬかも。」
と何度思ったことか。。。
たまたま見つけた岩陰に隠れてレインパンツを履こうにも時すでに遅し。
手が震えてザックのチャックを開けたり、細かい作業ができなくなっていました。
かろうじてジェルは食べられそうだったので、慌てて2個食べて、
「とにかく体温下がり過ぎないように、動き続けて降りるしか生きる方法はない。止まると死ぬ。」
本当にそう思った危険な状態でした。
実際に低体温症になった女性がノルウェー軍のヘリで搬送されたそうです。
ただひたすらに動き続けているとコースを逆走する2人組がきて、
「大丈夫か?」と声をかけてきます。
近くに小屋があるからとにかく避難しろ!と指示通り小屋へ行くと、すでに7~8人選手が小屋で震えていました。
毛布にくるまったり着替えたり。。。。
僕もここでようやくレインパンツが履け、服も着替えたので、すぐに出発の準備をしてレースを続行します。
留まり過ぎると行く気を失う気がして、すぐに出ました。
6人ほど一緒にパックになって降りよう!という話になり、
みんなでぶるぶる震えながらなんとか下山。
僕はこの区間から変にスイッチが入ってて、そのまま最後の山も勢いで終わらせてやる!
と走るスピードを上げて、行くと。。。
なんと、ゴールについてしまいました。笑
ロストした感覚もないし、たぶん最後の小さい山はカットになったんだなと。
ゴール手前で大会関係者に質問したら予想通り、
「最後はカットになったよ」と。。。
僕よりも後ろの選手は、僕が行った大きい山もカットになったそうです。
日本から来て、あの大きな山をカットになったら、いろいろ思い残すことがあっただろうなぁと思いながら、
ヤバかったけど行けて良かったなと。
思い残すことは何もありません。
以上、写真、動画多めのレースレポートでした。
3時間8分30秒ほどエイドでゆっくりしてしまったのを考えれば、
32時間で走れたら十分だなと。(自分には甘い。)
何度思い出しても、思い残したことは何もない、楽しく最高な160㎞のハシリタビでした。
また、気が向いたら、100マイルを走った感想などをまとめてみようかなと思います。
僕の感想なんか、誰かの参考になるのかな。。。